病気や怪我で救急車で病院に運ばれ入院することになっても、【退院】はいつかやってきます。
でも、この退院を迎える時に
トイレもまだ一人で行けない状態なのに
自宅に連れて帰るなんてムリ・・・
病院からの突然の【退院】の促しにショックを受けていませんか?
そんな窮地に立たされている人に、ちょっとしたアドバイス!
病状によっては【転院】して、リハビリを継続できるかもしれませんよ
病院や施設で15年働いてきた作業療法士が、実際に働いていたからこそ知り得た情報を提供します。
具体的に、どんな選択肢があるのか。
早速ご紹介していきます。
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リハビリが受けられる病院の種類
ここでは一般的な病院の種類ではなく、
自宅退院前に「もう少しリハビリを受けたい」という人向けに
【転院】をしてリハビリ継続を可能とする病院の種類についてご紹介します。
※「病院の種類」という表現を使っていますが、A病院という一つの建物の中に、多様な病棟(種類)があります。
詳しくは、該当される病院の相談員にご確認ください。
大きく分けて3つの選択肢があります。
救急車で運ばれ入院し、症状が落ち着いたのちに「もう少しリハビリを受けたい」というときに【転院】の候補になるのは、大きく分けて以下の3つです。
- 回復期リハビリテーション病棟
- 地域包括ケア病棟
- 療養病棟
例外:介護老人保健施設
この中で、1と2は「自宅(または特養や老人ホーム)へ退院することを目的とする場合」にのみ受け入れ体制を整えてくれます。
これらの種類について詳しく見ていきましょう。
回復期リハビリテーション病棟
自宅に帰るために必須となるトイレ動作や歩行練習など、動作の再獲得を目標としたリハビリに特化している病棟です。
365日 24時間 リハビリが受けられることを売りとしています。
とは言っても、本当に24時間ず〜とリハビリしているわけでもなく、1年間入院できるわけでもありません。
24時間リハビリの意味
回復期リハビリ病棟では、リハビリ以外の時間でも「自分で動作が可能となるように、環境や道具を工夫してやってみる」「病棟スタッフ(看護師や介護士)は必要最低限の手伝いだけで、自分で出来るように練習をする」
こういった意味で、24時間いつでもリハビリと思って取り組んでください。という意味を込めています。
365日リハビリの意味
365日というのは、入院中の期間は「土日・祝日は関係なく、毎日リハビリに取り組んでもらいます」という意味です。
たまにはリハビリ休みたいよね〜っという考えはなく、「限られた期間で目一杯のリハビリを受ける」という意気込みを求められます。
どんなリハビリを受けられるの?
リハビリ三銃士と言われている、
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
この三種類の専門的なリハビリを受けることができます。
1日最大3時間
体も頭も疲弊するぐらいに集中してリハビリを行います。
そのほかの時間は、自主トレーニングのメニューを提供され、病棟の介護スタッフと一緒に行ったり、トイレへ行くときも時間をかけながらも自分で車椅子を自操して極力一人でできる動作を反復して行ったりします。
どんな人が転院できるの?
リハビリ内容がちょっと厳しい印象を持たれたかもしれませんが、
入院している患者さんは60歳以上の方が多く、90代の人でも自宅に帰るためにリハビリに取り組んでいます。
回復期リハビリテーション病院に転院するには、実に細かいルールがあったりします。
回復期リハビリテーション病棟に転院するには、病名 & 入院期間に制限があります。
救急車で運ばれたあとに治療してくれた主治医の先生の判断によるところも大きいのですが、基本は厚生労働省で決められた内容に沿って回復期リハビリテーション病棟に転院できるかが決まります。
回復期リハビリ病棟へ転院できる病名とは
具体例として、
- 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)
- 整形疾患(大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折など)
- 呼吸器疾患(肺炎による廃用症候群など)
熱中症などで数週間寝たきりで入院したことによる廃用症候群(体力が著しく低下している状態)などの場合、一般的には回復期リハビリ病棟への転院は難しいと思います。
主治医の先生が、熱中症で入院中に「肺炎(はいえん)」も併発したことによる「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」であると診断書を書いたりしてくれたら、回復期リハビリ病棟への転院の可能性はあるかもしれませんね。
まぁ、そこはお医者さん次第なので、、、、
退院して自宅に連れて帰りたいのは山々ですが、今の状態では生活できません。
もう少しリハビリできる施設などはありませんかね?
このように、主治医や看護師や病院の相談員などへ泣きついてみるしかないかもしれませんね。
※意外とこの方法で道が開かれることもあるので、最終手段として試してみてもいいかもです。
各病名によって回復期リハビリ病棟でリハビリが可能となる期間についてはコチラを参照 ↓
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地域包括ケア病棟
回復期リハビリ病棟とよく間違われやすいのですが、全くの別モノである地域包括ケア病棟について分かりやすく解説します。
地域包括ケア病棟とは、
『ときどき入院、ほぼ在宅』
急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受け入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える
地域包括ケア病棟協会
簡単にいうと・・・
病気や状況に関わらず、家で過ごす気のある人なら、一時入院してリハビリ強化しますよ〜!
みたいな制度(病棟)と思ってもらえたらと思います。
どんな人が転院できるの?
よく似ている病棟の一つである回復期リハビリ病棟では、入院にあたって制限がたくさんありましたが、
地域包括ケア病棟は、病気や怪我、発症してから何日経過しているかなどの条件はありません。
とは言っても、やはり誰でも入院できるわけではありません。
対象となる人は、
- 急性期治療が終了し、病状が安定・軽快して在宅復帰へ向けてリハビリをする人
- 介護施設入所中や在宅療養中で、症状が不安定になったりリハビリを要する人
- 在宅で療養中に家族(介護者)の休養のための一時入院
- その他必要に応じて入院の受け入れ対象になる場合
お気づきになった人はいますか?
この地域包括ケア病棟は、なんとっ!
家で介護している家族が休むために使用してもいいんです。
罪悪感を持たずに病院に家族を任せることが出来るのねっ!
そうなんです!レスパイトと言って、家族の休養のために堂々と使用可能なんです。
一見とても救世主のように思える、地域包括ケア病棟について、入院中にどんな対応をしてくれるのかを説明していきます。
どんなリハビリをするの?
病院の体制によって受けられるリハビリの種類は2つに分かれます。
病院選びの段階で、以下のことに着目して選択するといいかもしれませんね。
- 選んだ病院の地域包括ケア病棟が、どれぐらいのベッド数を持っているのか
- 重症者や在宅(家など)からの入院してきた人の割合がどれぐらいなのか
- リハビリの担当セラピストは何人体制で行っているのか
入院する患者さん自身の体の状態によっても、リハビリの種類や回数は変動することがあります。
日常生活の動作(起居・食事・トイレ動作など)が、現時点でどれぐらいできているのか。
リハビリをすることにより改善が可能なのか、などによりリハビリメニューなどが変更されることがあります。
個別リハビリ
一対一で1日20分程度のリハビリを行い、個人の問題点に合わせ機能訓練などを行います。
病院によっては、パワーリハビリ(マシンを使った筋力強化訓練)などを取り入れているところもあります。
毎回同じリハビリ担当者がつくこともあれば、交代制で担当しているところもあります。
そのため引き継ぎがうまくいっていないと、何度も同じ話をすることになり煩わしさを感じることもあるかもしれません。
集団リハビリ
病状などにより積極的なリハビリが困難と思われた人には、レクリエーションとして集団リハビリの介入を行うこともあります。
またベッド上でのマッサージなど20分以内の関わりになることもあり、リハビリの充実度はかなり低下します。
療養病棟
治療をメインに行う急性期病棟を終えたあと、「まだ自宅に帰れるまでの能力回復をしていない」という人に、リハビリが充実しているオススメの転院先を紹介してきました。
次に紹介するのは、能力がある程度回復したとしても自宅退院が難しいかもしれない。
もしかしたら施設入所も検討するかもしれないという人に、少しでもリハビリの機会を継続するための転院先を紹介します。
それが、療養病棟です。
療養病床は、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるもの。
厚生労働省
どんな人が転院できるの?
治療が終了しているけど、食事量が少なくて点滴が継続されているなど、今後の退院先が見つからず行く宛がない時に転院出来る。といったところでしょうか。
特別養護老人ホームの申し込みをして待機中などに転院することもあります。
ひと昔前は、施設の入所待ちで3年以上。なんて言われていたこともあるので、その期間を過ごす場所となります。
どんなリハビリを受けられるの?
先に挙げた回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟とは、リハビリ内容が全く異なります。
ベッド上での関節拘縮予防のためのストレッチや、褥瘡(じょくそう)予防のための血流循環の促進マッサージなど。
「改善」よりも「予防」をメインにリハビリは介入することになります。
今後自宅や施設への退院が検討されている人に対しては、車椅子に乗る練習や一人で起き上がる練習なども行います。
しかし、患者数に対してリハビリスタッフの人数が圧倒的に少ないため、全患者さんに手厚いリハビリを行うことが難しのが現状です。
療養型の病院に転院したときには、主治医の先生に
できる限りリハビリの介入をお願いしたいです!
このように伝えてください。
希望を伝えていないと、「実はリハビリ介入は一度もしていなかった」なんてこともよくあります。
例外:介護老人保健施設
自宅に帰る前に「もう少しリハビリをしたい」というときの選択肢として、介護老人保健施設についてもご紹介しておきます。
例外として紹介するのは、医療機関ではなく、介護施設だからです。
使用する保険も、医療保険から介護保険に代わります。
どんな人が介護老人保健施設を利用できるの?
介護老人保健施設は、介護施設の扱いになるため【介護認定】を受けている必要があります。
基本的には、65歳以上で、今後も介護が必要であると認定された人が利用できます。
介護保険制度についてはコチラ
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どんなリハビリを受けられるの?
介護老人保健施設へ入所してから3ヶ月間は、リハビリ専門職による積極的なリハビリを受けることができます。
これを「短期集中リハビリ加算」と言います。
自宅に帰ってベッドからトイレまでの移動手段の再獲得など、歩行練習や車椅子自走練習なども行います。
必要に応じて、自宅訪問を行い環境調整なども行います。
より詳しい内容はコチラ。
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まとめ
簡単に情報をまとめるつもりが長くなってしまいました(汗)
急性期の病院から退院を促されたときに困らないよう、状況に応じて選択肢をいくつか持っていると安心できるかもしれませんね。
最近はお節介を焼いてくれるリハビリスタッフや看護師、医師が減ってきているように思います。
退院後の相談をする相談員ですら、『聞かないと教えてくれない』といった状況です。
「私の場合はどうなの?」と言った疑問などがあれば、お気軽にお問い合わせください。
今後も、知っていそうで知らなかった情報などを記事にしていきます。
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【よけいなお節介】
家での介護が難しい場合には、早めに老人ホームなどの介護施設の見学をして情報収集をしておくと良いでしょう。